自分で建設業許可の申請をする方法についてわかりやすく具体的に解説します。
申請の流れや必要な書類、取得に必要な要件、書類の作成方法などをご紹介します。
建設業許可の取得のための要件についてこちらもご覧ください
【申請の準備の準備段階】
- 事務所を設置すること
- 専任技術者を設置すること
- 経営管理に必要な経験があること
全部で必要な要件は5つありますが、まずは上記の3つを把握しておきましょう。
建設業許可の申請を自分で行う際の「専任技術者」要件について
今回は、自分で建設業許可の申請を行う方に向けて、要件のひとつである「専任技術者を設置しなければならない」について具体的に解説します。
専任技術者とは、建設業許可を取得するために設置が義務付けられている技術者のことを指します。
営業所において、建設業に関する技術的な知識や経験を持ち、業務を適切に遂行できる人材が必要です。この専任技術者は、営業所の安全性や品質を担保する役割を果たします。
専任技術者には、一定の条件が求められます。以下はその主な条件です。
- 建設業に関する専門的な知識や技能を持っていること。
- 建設業における一定の経験があること。通常、最低3年以上の実務経験が求められますが、資格や業種によっては要件が異なる場合があります。(実務経験を証明する場合は10年)
- 適切な資格を持っていること。
専任技術者の実務経験を証明する方法
- 雇用証明書:
過去に勤務した会社から、専任技術者候補が働いていた期間や役職、業務内容を記載した雇用証明書を取得します。この証明書には、実務経験の期間が明確に記載されていることが重要です。 - 給与所得証明書:
過去の給与所得証明書も実務経験の証明として利用できます。ただし、これだけでは業務内容が明確でない場合があるため、雇用証明書や業務内容がわかる資料と併せて提出することが望ましいです。 - 事業報告書:
個人事業主の場合、自分で作成した事業報告書を提出することで実務経験を証明できます。報告書には、業務内容や実施期間、関連する資格情報などを記載しましょう。 - 工事完了証明書:
過去に携わった工事に関する完了証明書や検査済証も、実務経験を証明する資料として有効です。これらの証明書には、工事の規模や期間、担当した業務内容が記載されていることが望ましいです。
専任技術者の実務経験証明には、業務内容や期間が明確であり、客観的に評価できる資料が望ましいとされています。
専任技術者についての内容はこちらもチェック
元請業者からの専任技術者の証明はどういったものがありますか?
下請として実務経験がある場合、元請業者から以下のような証明を取得することができます。
- 業務委託証明書:
元請業者から、専任技術者候補が下請としてどのような業務を担当していたか、期間や役職などを記載した業務委託証明書を取得できます。この証明書は、実務経験を証明するために有効な資料となります。 - 工事完了証明書:
元請業者が発行する工事完了証明書も、実務経験を証明する資料として利用できます。この証明書には、工事の規模や期間、担当した業務内容などが記載されていることが望ましいです。 - 発注書:
専任技術者候補と元請業者とやりとりした発注書も、実務経験の証明として有効です。発注書には、工事内容や請負金額、発注金額、材料金額の記載をします。
下請として実務経験がある場合でも、適切な証明書類を用意することで、専任技術者の実務経験を証明できます。これらの資料を整理し、建設業許可の申請書類に添付して提出しましょう
専任技術者の実務経験証明は、建設業許可の申請において重要な要素のひとつです。
下請としての実務経験がある場合でも、適切な証明書類を用意し、申請手続きをスムーズに進めることで、建設業許可の取得に近づくことができます。
自分で建設業許可の申請を行う際には、「専任技術者」の要件を理解しておかなければなりません。
元請業者からの証明書類(社印が必要)を用意し、事前にしっかりと準備を行い、スムーズな申請手続きを進めていきましょう。
経営業務の管理責任者としての経験を証明する
経営業務の管理責任者は、建設業許可の要件の1つであり、建設業者の経営業務全般を管理・監督する役割を担当します。以下に、経営業務の管理責任者に関する概要を具体的に説明します。
建設業の許可申請の要件の1つである経営業務の管理責任者についての内容はこちらもチェック
- 役割と責任:
経営業務の管理責任者は、企業の経営に関する重要な意思決定や業務管理、労働者の雇用や教育・指導など、経営全般に関する業務を行います。
また、企業の法令順守や労働安全衛生管理、品質管理、環境保全などにも関与し、適切な運営が行われることを監督・管理します。 - 資格要件:
・経営業務の管理責任者には、一定の資格要件があります。具体的には、役員として5年以上建設業を経営してきた経験がある。例えば、取締役や個人事業主、支配人、建設業許可業者の営業所長(令3条の使用人)などの役職で建設業を経営していた方になります。
・権限の委任を受け準ずる地位として5年以上の建設業の経営経験がある。これは執行役員をさすことがほとんどです。執行役員に就任したことが議事録等で分かること、建設業に関しての権限を持っていたことなども経験期間の5年間の証拠として示すようになります。
・経営者に準ずる地位として6年以上経営者を補助した経験がある。取締役直属の工場長などの地位や、個人事業主さんの直属の番頭さんみたいな地位に該当します。
経営業務の管理責任者の存在は、建設業許可を取得し維持するために欠かせない要素です。
適切な管理責任者を選定し、企業の成長と発展に貢献できるよう努めてください。
請負契約に関して誠実でなければならない
許可を受けようとする人が、「法人」の場合は当該法人、その役員、政令で定める使用人(令3条に規定する使用人)が、「個人」の場合はその者、政令で定める使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが必要です。
●誠実な契約締結
まず、建設業者は元請との間で適切な契約を締結することが求められます。契約書には、工事の内容、期間、費用、品質基準などが明確に記載され、双方の権利と義務が明確化されることが望ましいです。
また、契約に基づく業務遂行に問題が発生した場合、適切な対応を行い、元請と円滑にコミュニケーションを取ることが重要です。
●法令遵守
建設業者は、契約に関して法令を遵守することが求められます。たとえば、建築基準法や労働安全衛生法などの法令を遵守し、適切な許認可や手続きを行ってください。
また、請負契約に関する法令や規定に基づいて、適切な報酬や労働条件を設定し、労働者の権利を保護してください。
●品質の確保
元請との請負契約において、建設業者は品質の確保に努めることが求められます。工事の品質基準や元請の要望に応じた適切な工事の実施、品質管理体制の整備、不具合があった場合の適切な対応などが含まれます。
また、工事の進捗状況や品質に関する情報を元請に適時報告し、信頼関係を構築することが重要です。
●責任の明確化
請負契約において誠実であることの一環として、責任の明確化が求められます。契約書には、工事の遅延や品質問題が発生した場合の責任分担や損害賠償の内容が明確に記載されることが望ましいです。
また、労働者や協力会社との契約においても、責任の明確化を図り、円滑な業務遂行を目指してください。
●信用の維持・向上
建設業許可申請の際には、過去の請負契約において誠実に業務を遂行してきたことが評価されます。過去の元請からの評価や信用情報が良好であることが、許可申請に有利となります。
まとめとして、「請負契約に関して誠実であること」は、建設業許可の申請要件の1つであり、建設業者が適切な契約締結、法令遵守、品質確保、責任の明確化、信用の維持・向上に努めることが求められます。
財産的基礎、金銭的信用があること
「一般建設業許可」の場合:
次の(1)(2)(3)のうち、どれか1つの条件に該当しなければなりません。
(1)自己資本の額が500万円以上あること。
(2)500万円以上の資金を調達する能力があること。
(3)許可申請の直前過去5年間許可を受けて継続して建設業を営業した実績を有すること。
「特定建設業許可」の場合:
次の(1)(2)(3)のすべてに該当しなくてはなりません。
(1)欠損の額が資本金の額の20%を超えないこと。
(2)流動比率が75%以上であること。
(3)資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること。
建設業許可を受けようとするものが、欠格要因ではないこと
建設業許可を受ける際に、申請者が欠格要因を持っていないことが重要な要件の1つです。欠格要因とは、申請者が建設業許可を受ける資格を失うような事情や条件のことを指します。
- 破産手続き中の者 申請者が破産手続き中である場合、建設業許可を受けることができません。破産手続きが完了し、復権を得ていれば、建設業許可の申請が可能となります。
- 犯罪歴がある者 建設業許可を受ける際には、申請者が過去に建設業関連の犯罪や詐欺などの重大な犯罪歴がないことが要件とされています。
- 建設業許可の取消し処分を受けた者 過去に建設業許可が取り消されたことがある者は、一定期間(通常5年間)は建設業許可を受けることができません。
- 建設業に関する法令違反により、5年以内に建設業法違反や禁錮刑以上の刑に処せられていると許可されません。
申請者が欠格要因を持たないことは、建設業許可を受けるための基本的な条件です。
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