令和5年1月10日(火)より建設業許可や経営事項審査の電子申請の受付を開始します。

建設業許可の申請要件である経営業務の体制とは

建設業許可の要件でもある適正な経営業務の体制とは 建設業許可

建設業の許可をとるにあたっての要件の1つに、

●法人の場合は常勤役員のうち1人が、個人事業の場合は事業主または支配人が一定以上の経営経験を有しているか

●申請者が事業体として経営業務の管理体制が整っているか

いずれかの基準をクリアしていなければならないというものがあります。

建設業許可の申請要件 – 経営業務の管理責任者を理解する

建設業許可の申請要件の中でも特に重要な「経営業務の管理責任者」について解説します。

建設業許可はなぜ必要か

建設業許可の申請や要件についてはこちら

経営業務の管理責任者は、建設業者の経営管理を行う上での責任者です。その役割は以下の通りです。

  • 企業の経営方針の策定
  • 労働安全衛生の確保
  • 経営管理体制の構築
  • 法令順守の確保
  • 事業継続性の確保

経営業務の管理責任者として認められるためには、以下の要件が必要です。

●経営管理業務に関する知識や経験を有していること

●建設業に関する法令や業界の知識を持っていること

●事業の成長戦略や労働安全衛生に関する取り組みについての理解があること

●建設業許可を受ける企業の役員、従業員、または建設業に関連する経験がある者であること

建設業許可申請の要件の経営業務の管理責任者の役割と重要性

経営業務の管理責任者は、企業の法令順守や労働安全衛生などの取り組みをリードし、経営の安定化や業績向上に寄与します。

また、許可申請時の審査において、経営業務の管理責任者が適切に配置されているかが重要な判断基準となります。

適格な管理責任者が不在の場合、建設業許可の申請をしても当然不許可になるため、この「経営業務の管理責任者がいること」という要件のクリアが一番のやまばといってもいいと思います。

適格な管理責任者が不在の場合、建設業許可がおりない可能性があるため、事業の成長や発展においても重要な役割を担っています。

「経営管理業務に関する知識や経験を有している」ことを証明する方法

  1. 履歴書や職務経歴書:
    経営管理業務に関する職歴や実績を明記した履歴書や職務経歴書を提出し、経験を証明します。これには、過去の職場での役職、担当業務、達成した目標や成果などが含まれます。
  2. 経営者や従業員としての経歴:
    建設業許可を受ける企業の役員や従業員としての経歴がある場合、経営管理業務に関する知識や経験があると証明できます。
  3. 建設業に関連する資格・免許:
    建設業に関連する資格や免許を保有している場合、それらの資格や免許を証明書類として提出することで、経営管理業務に関する知識を示すことができます。
  4. 研修やセミナーの参加証明:
    経営管理業務に関する研修やセミナーに参加したことがある場合、その参加証明書や修了証を提出することで、関連知識を身につけていることを証明できます。

これらの証明書類を用意し、建設業許可の申請時に提出することで、「経営管理業務に関する知識や経験を有している」ことを示すことができます。

元請けや発注先から証明していただく

●実績・評価書の提出:
元請けや発注先から、あなたが関与した工事や業務の実績や評価に関する書類を提出してもらうことができます。

この書類には、あなたが担当した業務内容や達成した成果、元請けや発注先からの評価やフィードバックが記載されていることが望ましいです。

●推薦状:
元請けや発注先から、あなたの経営管理業務に関する知識や経験に対する評価を記載した推薦状を提出してもらうことができます。

推薦状には、具体的な工事内容や業務での実績、協力関係やコミュニケーションスキル、問題解決能力など、経営管理業務に関連する能力が評価されていることが望ましいです。

●参考人としての紹介:
元請けや発注先の代表者や関係者を参考人として紹介し、彼らにあなたの経営管理業務に関する知識や経験について説明してもらうことができます。

●業務提携・協力契約書:
元請けや発注先との間で締結された業務提携や協力契約書を提出することで、あなたが経営管理業務に関連する業務を行っていたことを示すことができます

ただし、契約書の中で、あなたが担当した業務内容や達成した成果が明確に記載されていることが重要です。

以上の複数の証明書類を用意し、相互に補完することで、より信頼性の高い証明となります。

元請けや発注先から証明をもらう際には、事前に連絡をして、協力をお願いすることは必須です。社印等必要な書類のフォーマットや内容については都道府県の手引きを参照しておきます。

建設業許可を取得する際の要件「財産的基礎」

一般建設業と特定建設業では、財産的基礎の基準が異なります。ここでは、一般建設業と特定建設業における財産的基礎の基準と、それを確認するための資料について詳しく解説します。

【一般建設業】

一般建設業の許可申請を行う際、以下のような財産的基礎の基準が設定されています。

  1. 資本金または事業主の資本が一定額以上(500万円)であること。
  2. 無事故かつ適切な施工ができるような設備や機械、車両等を保有していること。

これらの基準を満たすためには、以下の資料が必要となります。

  • 会社の登記事項証明書: 資本金の額を確認するために、会社登記事項証明書を提出する必要があります。
  • 設備・機械・車両のリスト: 保有している設備・機械・車両の詳細を記載したリストを提出し、無事故かつ適切な施工が可能であることを示す必要があります。
  • その他の財務資料: 決算書や貸借対照表など、企業の財務状況を示す資料を提出することで、財産的基礎があることを証明できます。

【特定建設業】

特定建設業の許可申請では、以下のような財産的基礎の基準が設定されています。

直近の決算で以下の4つの財産的要件を満たしていること

  • 欠損の額が、資本金の額の20%を超えないこと
  • 流動資産÷流動負債の比率が75%以上であること
  • 資本金が2,000万円以上であること
  • 自己資本が4,000円以上であること

「資本金が2,000万円以上であること」と「自己資本が4,000万円以上であること」は比較的理解しやすい内容ですが、欠損比率20%以下、流動比率75%以上という部分は、かなり複雑です。

特定建設業のクリアすべき財産的基礎は、上記すべてを直近の決算でクリアしている必要があるため、特定建設業を取得しようとする場合、決算前から税理士などに対策してもらう必要があるでしょう。

また、一般建設業許可と同じで資本金の額を確認するために、会社登記事項証明書を提出を求められる場合があります。

さらに、保有している設備・機械・車両の詳細を記載したリストを提出し、無事故かつ適切な施工が可能であることを示さなければならない場合もあります。

「資金調達能力がある」ことを証明する方法(一般建設業許可)

【資金調達能力の証明方法】

・金融機関からの残高証明書: 金融機関から取得した残高証明書を提出することで、現在の資金状況を証明できます。これにより、建設業における資金調達能力があることを示すことができます。

・融資取引履歴: 過去に金融機関から融資を受けた履歴や、現在進行中の融資取引の詳細を提出することで、資金調達能力を証明できます。これには、融資額、融資期間、返済条件などの情報が含まれます。

・金融機関からの信用状況の証明: 金融機関から取得した信用状況の証明書を提出することで、建設業における資金調達能力があることを示すことができます。信用状況の証明書には、信用格付けや信用取引の履歴が記載されています。

これらの証明方法を用いて、一般建設業許可の申請要件である資金調達能力を示すことができます。